売上を見ているのに、判断を誤る理由
経営の話になると、多くの企業で最初に出てくるのは売上や利益の数字です。
もちろん、数字は重要です。
ただ、実務で見ていると数字を見ているのに、判断を誤ってしまうケースが少なくありません。
原因は、売上を「結果」として見ていても、その裏にある構造を見ていないことにあります。
よくある誤解|売上が高い事業=注力すべき事業
多くの企業で、「売上が立っている事業=主力」という認識が置かれています。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
- 利益が薄い
- 人手がかかる
- 将来性が見えない
こうした要素を含んでいても、売上が高い現状だけを見ると「やめにくい事業」になってしまいます。
戦略的に見るべきは「事業の構造」
戦略を考える際に重要なのは、事業をどんな構造で成り立っているかで捉えることです。
構造を見るとは、例えば次のような視点です。
- 誰の課題を解決しているか
- どこで価値を生んでいるか
- どこにコストが集中しているか
- 何が制約条件になっているか
売上は、この構造の結果として出てきます。
分解①|「顧客」で事業を見る
まず、売上を一つの塊として見るのをやめます。
- 同じ商品でも
- 同じサービスでも
顧客が違えば、構造はまったく異なります。
- 手間がかかる顧客
- 判断が早い顧客
- 価格に敏感な顧客
これらを一緒に扱うと、戦略は必ず曖昧になります。
分解②|「価値の生まれ方」で見る
次に見るべきは、どこで価値が生まれているかです。
- 専門性
- スピード
- 関係性
- 再現性
売上が立っていても、価値の源泉が弱い事業は、環境変化に弱くなります。
逆に、売上規模が小さくても価値の生まれ方が強い事業は、集中の候補になります。
分解③|「負荷と制約」で見る
中堅・中小企業にとって、最も重要なのがこの視点です。
- 誰の時間を使っているか
- 属人化していないか
- 人が増えないと回らないか
ここを見ずに判断すると、「成長しているのに苦しい」という状態に陥ります。
なぜ「構造」で見ると選択がしやすくなるのか
事業を構造で分解すると、次のようなことが見えてきます。
- 売上はあるが、消耗している事業
- 売上は小さいが、伸ばせる事業
- 今は主力だが、将来が厳しい事業
これらを感情ではなく、設計の問題として扱えるようになります。
戦略判断は「好き・嫌い」ではなく「設計」
事業の選択というと、どうしても感情が入りがちです。
- 思い入れがある
- 長くやってきた
- 断りにくい
これ自体は悪いことではありません。
ただし、戦略判断の軸にしてしまうと、集中は起きません。
構造で分解することで、判断を設計の問題に引き戻すことができます。
まとめ
ここで一度、整理します。
- 売上は結果であり、判断軸ではない
- 事業は構造で分解する
- 顧客・価値・負荷で見る
- 集中と選択は、設計として行う
この視点がないまま「どこに集中するか」を考えても、結論は出にくくなります。
次に考えるべきこと
事業を構造で分解できたら、次に必要なのは
「では、どの構造に集中すべきか」を決めることです。
次の記事では、その判断軸として“勝ち筋が見える事業の条件”を整理していきます。