良さは分かるのに、なぜ買えないのか
toC向けの商品やサービスで、こんな状態を目にしたことはないでしょうか。
- 内容は理解できている
- 価格も許容範囲
- 興味もある
それでも、購入や申し込みに踏み切れない。
このとき問題なのは、情報不足ではありません。
意思決定の構造の半分しか満たしていないことが原因であることが考えられます。
よくある誤解|顧客は感情で決める
toCマーケティングでは、「人は感情で買う」と言われることがよくあります。
確かに、感情は重要です。
ただし、感情だけで決まる意思決定はほとんど存在しません。
人はまず、「選んでもおかしくない理由」を探し、その上で「これで後悔しないか」を自分に問いかけています。
toCの意思決定で実際に起きていること
toCの意思決定は、
外からは見えにくいですが、
toBと同じく 2層構造 です。
表の意思決定(頭の中の論理)
- 価格は妥当か
- 他と比べて損していないか
- 条件や内容は理解できるか
これは、比較サイトを見たり、何度もページを読み返したりする論理のプロセスです。
裏の意思決定(感情・不安)
- 本当に自分に合っているか
- 使いこなせるか
- 後で「失敗した」と思わないか
これらは、言葉にはなりにくいですが、最後の判断を止める大きな要因です。
論理が担う役割|「選んでもおかしくない」と思える状態
toCにおける論理の役割は、
自分自身を納得させることです。
論理が満たすもの
- 価格や条件が理解できている
- 他と比べて極端に不利ではない
- 判断理由を言語化できる
これがないと、人は「なんとなく不安」という状態から抜け出せません。
論理は、感情を動かすための土台になります。
感情が担う役割|「これでいい」と踏み切れる状態
最終的に、購入を決めるのは感情です。
ただし、ここで言う感情とは衝動や高揚感ではありません。
toCにおける感情とは
- 使うイメージが持てる
- 自分に合っていそう
- 後悔しなさそう
つまり、不安が解消された状態です。
人は、「欲しいから買う」よりも、「失敗しなさそうだから買う」で行動することが多いのです。
感情だけの訴求が失敗する理由
感情訴求に寄せすぎると、次のような状態が起きます。
- 興味は引ける
- 共感はされる
- でも、最後に止まる
理由はシンプルで、論理が追いついていないからです。
- 他と比べてどうなのか
- なぜこの価格なのか
- なぜ今選ぶべきなのか
ここが整理されていないと、不安は消えません。
toCの価値提案も「二層構造」で設計する
toC向けの価値提案も、
toBと同じく
二層構造で考えると整理しやすくなります。
上の層:論理
- 機能・条件・内容
- 他との違い
- 価格の理由
下の層:感情
- だから自分に合いそう
- だから安心できる
- だから後悔しにくい
重要なのは、この2つが同じ結論を指していることです。
toCでよくある失敗
実務でよく見られる失敗は、次の2つです。
① 情報を出しすぎる
不安を消そうとして、情報を詰め込みすぎるケースです。
結果として、比較が難しくなり、判断が止まります。
② 共感だけで終わる
ストーリーや想いは伝わるが、「で、どう違うのか」が分からない。
この状態では、気持ちは動いても行動にはつながりません。
toCマーケティングで本当にやるべきこと
toCマーケティングでやるべきことは、購買意欲を煽ることではありません。
購入後の後悔を、事前に減らしてあげることです。
- どんな人に向いているか
- 向いていない人は誰か
- どんな使い方が合うか
これらをあらかじめ提示することで、判断は一気に楽になります。
まとめ
ここまでを整理します。
- toCの意思決定も二層構造
- 論理は納得、感情は踏み切り
- 感情=後悔しなさそうという感覚
- 価値提案は二層で設計する
toCマーケティングとは、人を動かすことではなく、迷わなくていい状態を作ることだと言えます。
次に考えるべきこと
toB / toC 両方の価値提案構造が揃いました。
次は、この価値提案をどう一貫したメッセージにまとめるかというテーマに進みます。
次の記事では、マーケティング④「伝えることを増やさず、理解を揃える」を扱います。