正しい提案なのに、なぜ決まらないのか
toBのマーケティングや営業で、こんな経験はないでしょうか。
- 提案内容は論理的
- 数字も整っている
- 競合比較でも不利ではない
それでも、「検討します」で止まり、最終的に決まらない。
このとき問題なのは、説明の不足ではありません。
意思決定の構造を、半分しか扱っていないことにあります。
よくある誤解|toBの意思決定は論理だけ
toBでは、稟議・比較・費用対効果などが重視されます。
そのため、「toBは論理で決まる」と考えられがちです。
しかし実務では、論理だけで決まる案件は、ほとんどありません。
論理は「決めてよい理由」を作りますが、決断そのものを後押しする役割は別に存在します。
toBの意思決定で実際に起きていること
toBの意思決定は、次の2層で同時に進んでいます。
表の意思決定(表に出る)
- ROIは合っているか
- 比較して不利ではないか
- 社内説明はできるか
これは、会議・資料・言葉として可視化される部分です。
裏の意思決定(表に出にくい)
- この選択で失敗しないか
- 後から責められないか
- 任せても大丈夫そうか
こちらは、会議では語られませんが、最終判断に強く影響します。
論理が担う役割|「合理的に決めた」と言える状態
論理が担う最大の役割は、判断を正当化できる状態を作ることです。
論理が満たすもの
- 社内で説明できる
- 比較検討に耐えられる
- 数字や根拠が揃っている
これがないと、toBの意思決定は前に進みません。
ただし重要なのは、論理は「GOサイン」ではなく「許可証」に近いという点です。
感情が担う役割|「踏み切っても大丈夫」と思える状態
最終的に意思決定者の背中を押すのは、感情のレイヤーです。
toBにおける感情とは誤解されがちですが、「好き・嫌い」ではありません。
- 炎上しなさそう
- 想定外が起きにくそう
- 任せられそう
といった、リスク回避と安心感です。
論理で「決めていい」となり、感情で「決められる」になる。
この2つが揃って、初めて意思決定が完了します。
論理だけの提案が失敗する理由
論理だけで組み立てられた提案は、次のような状態になりやすいです。
- 正しいが、冷たい
- 比較すると差が見えない
- 最後の一押しがない
結果として、「もう少し検討します」「他も見てから」となり、決断が先延ばしされます。
toBの価値提案は「二層構造」で設計する
toB向けの価値提案は、次の二層で設計すると整理しやすくなります。
上の層:論理
- 何ができるのか
- なぜ効果があるのか
- どこが他と違うのか
下の層:感情
- だから安心できる
- だから任せられる
- だから失敗しにくい
この2つが同じ方向を向いていることが重要です。
中堅・中小企業で起きやすい失敗
実務でよく見られる失敗は、次の2つです。
① 感情を排除しようとする
- 「感情論は不要」
- 「論理だけで判断すべき」
こうして感情を無視すると、決断は止まります。
② 感情を“雰囲気”で処理する
逆に、
- 「信頼できます」
- 「安心です」
といった言葉を、根拠なく置いてしまうケースもあります。
これでは、意思決定者の不安は消えません。
toBマーケティングで本当にやるべきこと
toBマーケティングでやるべきことは、感情を煽ることではありません。
意思決定者が感じている不安を、論理で包んで解消することです。
- なぜ想定外が起きにくいのか
- なぜ任せられると言えるのか
- なぜ失敗確率が下がるのか
こうすることで、価値が伝わる可能性が高まります。
まとめ
ここまでを整理します。
- toBでも意思決定は二層構造
- 論理は正当化、感情は踏み切り
- 感情=安心・リスク回避
- 価値提案は二層で設計する
toBマーケティングとは、論理を積み上げることではなく、「決断しやすい状態」を設計することだと言えます。
次に考えること
toBの価値提案構造が整理できたら、次はtoCでは、この二層がどう現れるのかを見ていきます。
次の記事では、「toC編|人は「納得」してから、「後悔しなさそう」で選ぶ」を扱います。