「不確実な時代」と言われるが、本当に不確実なのはどこか

中小企業診断士

不確実な時代の判断軸

目次

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すべてが不確実だと思うと、判断は止まる

ここ数年、「不確実な時代だ」「先が読めない」という言葉を耳にする機会がさらに増えました。

この言葉自体は、間違ってはいません。
ただ、経営において問題なのは、「すべて」が不確実だと捉えてしまうことです。

全部が不確実だと考えると、判断はどうしても先送りになります。
まずは、何が不確実で、何がそうではないのかを整理する必要があります。


よくある誤解|将来は何も予測できない

「予測できない時代だから、柔軟に対応するしかない」という言い方を聞くことがあります。

もちろん、変化に対応する姿勢は重要です。

ただし、何も予測できないわけではありません。

実務で見ていると、不確実性が高い部分と、かなりの確度で見通せる部分は、はっきり分かれています。


不確実①|短期的な“量”と“タイミング”

まず、不確実性が高いのは
短期的な変動の大きさやタイミングです。

例えば、

  • 需要がどの月にどれくらい動くか
  • 受注がいつ集中するか
  • コストがいつ、どの程度変動するか

こうした「量」と「時期」は、以前よりブレやすくなっています。

ここを正確に当てにいくほど、判断は難しくなります。


不確実②|外部要因が重なったときの影響

もう一つ不確実なのは、複数の外部要因が同時に起きた場合の影響です。

  • 原材料価格の変動
  • 為替の影響
  • 国際情勢
  • 制度変更

これらが単独で起きる場合よりも、重なったときの影響は読みづらくなります。

ここは、過去の経験が通用しにくい領域です。


一方で、不確実ではないものもある

重要なのは、不確実なものばかりに目を向けないことです。

例えば、次のような点はかなりの確度で見通せます。

  • 人手不足が短期間で解消する可能性は低い
  • 顧客の情報収集行動は元には戻らない
  • デジタル技術の前提化は進み続ける

これらは、予測というより「前提条件」として置くべき事実に近いものです。

総務省「労働力調査」によれば、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は長期的な減少傾向にあり、人手不足は景気循環ではなく人口構造に起因する変化です。「前提条件」として戦略に組み込むべき事実と言えます。 (出典:総務省統計局「労働力調査」 https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html )


見誤りやすいポイント|不確実性の混同

判断が難しくなる原因の一つは、不確実性を混同してしまうことです。

  • 読めないもの
  • 読まなくていいもの
  • すでに前提として置けるもの

これらを同じレイヤーで扱うと、すべてが不確実に見えてしまいます。

結果として、戦略の検討自体が止まりやすくなります。


経営判断に使える整理軸

ここまでを踏まえると、不確実性は次のように整理できます。

  • 短期の変動は不確実
  • 構造的な変化は前提として置ける
  • 自社の意思決定はコントロール可能

この整理ができると、「考えても仕方ないこと」と「考えるべきこと」が分かれます。


不確実な時代に必要なのは「予測力」ではない

ここで一つ、誤解されやすい点があります。

不確実な時代に必要なのは、未来を正確に当てる力ではありません。

必要なのは、前提条件を置いた上で判断する力です。

  • どこを前提として固定するか
  • どこを柔軟に見直すか

この切り分けができると、不確実性は判断を止める理由ではなくなります。


次に考えるべきこと

不確実性を整理した次に必要なのは、「では、どの前提条件を経営に組み込むべきか」を考えることです。

特に、国の政策や中小企業支援、制度の扱い方は、判断を誤りやすいテーマの一つです。

次の記事では、中小企業支援策をどう位置づけて考えるべきかを整理していきます。

FAQ

Q1. 「不確実な時代」と言われますが、本当に何も予測できないのですか?

A. すべてが不確実なわけではありません。不確実性が高い部分と、かなりの確度で見通せる部分ははっきり分かれています。短期的な需要の「量」と「タイミング」、複数の外部要因が重なったときの影響は読みづらい一方、人手不足の継続、顧客行動のデジタル化、デジタル技術の前提化などは前提条件として置ける事実に近いものです。

Q2. 経営判断で最も不確実性が高いのはどこですか?

A. 短期的な変動の「量」と「タイミング」です。需要がどの月にどれくらい動くか、受注がいつ集中するか、コストがいつ・どの程度変動するかといった要素は、以前よりブレやすくなっています。ここを正確に当てにいくほど、判断は難しくなります。

Q3. 逆に、前提条件として置ける変化にはどんなものがありますか?

A. 人手不足が短期間で解消する可能性は低いこと、顧客の情報収集行動は元に戻らないこと、デジタル技術の前提化は進み続けることなどです。これらは「予測」というより、すでに起きている事実として戦略に組み込むべき要素です。

Q4. 不確実性に対してどう経営判断を下せばよいですか?

A. 不確実性を混同しないことが重要です。「読めないもの」「読まなくていいもの」「すでに前提として置けるもの」を切り分け、それぞれに適した対応方針を取ります。すべてを同じ重みで扱うと、判断は必ず止まります。

この主題に、私たちはどう関わるか

私たちは、答えを渡さず、経営者の思いを共に掘り起こし、形にします。

この記事を書いた人

代表取締役 中島 賢喜

中小企業診断士(経済産業省登録 第426752号)。2019年から、中堅・中小企業の支援を続けています。

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