不安になる前に、整理すべきことがある
最近、「先が見えない」「何から手を打てばいいのか分からない」
と感じている経営者の方は少なくないかもしれません。
ただ、ここで重要なのは不安を解消するために施策を探すことではなく、どんな前提条件で経営を考えるべきかを整理することです。
前提が揃っていないまま戦略を考えても、判断はどうしても場当たり的になってしまいます。
よくある誤解|戦略を変えれば何とかなる
環境が厳しくなると、「新しい方針を考えなければ」「何か打ち手を増やさなければ」という発想になりがちです。 しかし実務で見ていると、戦略や方針そのものよりも、戦略を考える前提条件が古いままというケースが非常に多く見られます。 前提がずれていれば、どんな立派な戦略や方針、優れた打ち手も噛み合いません。
ここ数年で起きているのは「部分的な変化」ではない
重要なのは、今起きている変化の多くが一時的・局所的なものではない、という点です。
例えば、人材確保の難しさ、コスト構造の変化、顧客の情報収集・購買行動の変化、デジタル技術の進化。これらは、元に戻る前提で考えると判断を誤りやすい変化です。
ここをどう捉えるかで、選択肢は大きく変わります。
整理すべき視点①|変わったことと、変わっていないこと
経営環境を考える際、まず切り分けたいのはこの2点です。
明らかに変わったこと、本質的には変わっていないこと。
例えば、市場のスピードや情報量は変わりましたが、「顧客が価値を感じるかどうか」という本質は変わっていません。
この切り分けができていないと、流行や不安に引っ張られやすくなります。
整理すべき視点②|短期対応すること、前提条件として受け入れること
次に整理すべきは、短期的に対応すべきことと、前提条件として受け入れるべきことの違いです。
例えば、
- 一時的な需要変動への対応
- 恒常化している人手不足
これらを同じレイヤーで扱うと、戦略はどうしてもブレます。
「努力で戻せるもの」と「前提として組み込むべきもの」を分けて考える必要があります。
整理すべき視点③|自社で変えられること・変えられないこと
経営環境を考える際、
すべてに対して同じ力を使う必要はありません。
- 変えられない外部環境
- 変えられる自社の設計
この線引きが曖昧なままでは、経営判断に無駄な消耗が生まれます。
環境そのものを嘆くより、その環境を前提に、「何を選ぶか」に意識を向けることが重要です。
戦略の前に揃えるべき「思考の足場」
ここまでをまとめると、まずやるべきは新しい戦略そのものではありません。
- どんな環境変化が起きているのか
- どこを前提として受け入れるのか
- どこからが自社の意思決定領域なのか
この思考の足場を揃えることです。
足場が揃っていない状態では、どんな打ち手も安定しません。
次に考えるべきこと
この前提整理ができてはじめて、「では、どこに集中するべきか」「何を捨てるべきか」という戦略の話に進めます。
この続きでは、中堅・中小企業を取り巻く経営環境が具体的に何がどう変わったのかを、もう少し構造的に整理していきます。