なぜ今、中堅・中小企業の経営は戦略の前提から見直す必要があるのか

中小企業診断士

中小企業の経営戦略

目次

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不安になる前に、整理すべきことがある

最近、「先が見えない」「何から手を打てばいいのか分からない」
と感じている経営者の方は少なくないかもしれません。
ただ、ここで重要なのは不安を解消するために施策を探すことではなく、どんな前提条件で経営を考えるべきかを整理することです。
前提が揃っていないまま戦略を考えても、判断はどうしても場当たり的になってしまいます。


よくある誤解|戦略を変えれば何とかなる

環境が厳しくなると、「新しい方針を考えなければ」「何か打ち手を増やさなければ」という発想になりがちです。 しかし実務で見ていると、戦略や方針そのものよりも、戦略を考える前提条件が古いままというケースが非常に多く見られます。 前提がずれていれば、どんな立派な戦略や方針、優れた打ち手も噛み合いません。


ここ数年で起きているのは「部分的な変化」ではない

重要なのは、今起きている変化の多くが一時的・局所的なものではない、という点です。
例えば、人材確保の難しさ、コスト構造の変化、顧客の情報収集・購買行動の変化、デジタル技術の進化。これらは、元に戻る前提で考えると判断を誤りやすい変化です。
ここをどう捉えるかで、選択肢は大きく変わります。

中小企業庁「2024年版中小企業白書」によれば、経営課題として「売上・受注の停滞・減少」を挙げる中小企業は全体の約6割に達しており、従来型の経営判断では対処が難しい構造的変化が進行していることが示されています。 (出典:中小企業庁「2024年版中小企業白書」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/)


整理すべき視点①|変わったことと、変わっていないこと

経営環境を考える際、まず切り分けたいのはこの2点です。
明らかに変わったこと、本質的には変わっていないこと。
例えば、市場のスピードや情報量は変わりましたが、「顧客が価値を感じるかどうか」という本質は変わっていません。
この切り分けができていないと、流行や不安に引っ張られやすくなります。


整理すべき視点②|短期対応すること、前提条件として受け入れること

次に整理すべきは、短期的に対応すべきことと、前提条件として受け入れるべきことの違いです。
例えば、

  • 一時的な需要変動への対応
  • 恒常化している人手不足

これらを同じレイヤーで扱うと、戦略はどうしてもブレます。
「努力で戻せるもの」と「前提として組み込むべきもの」を分けて考える必要があります。


整理すべき視点③|自社で変えられること・変えられないこと

経営環境を考える際、
すべてに対して同じ力を使う必要はありません。

  • 変えられない外部環境
  • 変えられる自社の設計

この線引きが曖昧なままでは、経営判断に無駄な消耗が生まれます。
環境そのものを嘆くより、その環境を前提に、「何を選ぶか」に意識を向けることが重要です。


戦略の前に揃えるべき「思考の足場」

ここまでをまとめると、まずやるべきは新しい戦略そのものではありません。

  • どんな環境変化が起きているのか
  • どこを前提として受け入れるのか
  • どこからが自社の意思決定領域なのか

この思考の足場を揃えることです。
足場が揃っていない状態では、どんな打ち手も安定しません。

次に考えるべきこと

この前提整理ができてはじめて、「では、どこに集中するべきか」「何を捨てるべきか」という戦略の話に進めます。
この続きでは、中堅・中小企業を取り巻く経営環境が具体的に何がどう変わったのかを、もう少し構造的に整理していきます。

FAQ

Q1. なぜ経営戦略は「前提条件」から見直す必要があるのですか?

A. 経営環境の変化の多くが一時的・局所的なものではなく構造的な変化だからです。前提条件が古いまま戦略を考えても、施策は噛み合いません。人材確保の難しさ、コスト構造の変化、顧客の購買行動の変化、デジタル技術の進化など、元に戻る前提では判断を誤りやすい変化が増えています。

Q2. 戦略を変える前に、まず何を整理すべきですか?

A. 3つの視点で切り分けることが重要です。①変わったことと、変わっていないこと、②短期対応すべきことと、前提条件として受け入れるべきこと、③自社で変えられることと、変えられないこと。この整理がないまま打ち手を考えると、判断がブレやすくなります。

Q3. 中小企業が特に注意すべき「戻らない変化」とは何ですか?

A. 人材確保の難しさ、原材料・人件費のコスト構造変化、顧客の情報収集と購買行動のデジタル化、デジタル技術の前提化などが代表例です。これらを「一時的な変化」として捉えると、経営判断に無駄な消耗が生まれます。

Q4. 「思考の足場」を揃えるとは具体的にどういうことですか?

A. 戦略を考える前に、①どんな環境変化が起きているのか、②どこを前提として受け入れるのか、③どこからが自社の意思決定領域なのか、の3点を整理することです。この足場が揃わない状態では、どんな打ち手も安定しません。

この主題に、私たちはどう関わるか

私たちは、答えを渡さず、経営者の思いを共に掘り起こし、形にします。

この記事を書いた人

代表取締役 中島 賢喜

中小企業診断士(経済産業省登録 第426752号)。2019年から、中堅・中小企業の支援を続けています。

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